羅刹の刃《Laminas Daemoniorum》
九鬼の言葉に、鬼気迫る表情だった酒童は拍子抜けする。
(どういうことだ?)
酒童の顔には「どういうことですか?」と書いてある。
ふん、と、九鬼は鼻で笑うや、そっと酒童を抱き締めた。
「なに、せがれの成長を楽しむのは当然であろう。
父ならばな」
九鬼は言った。
酒童を抱き締めるその腕は、ひどく冷たい。
酒童は目を見開いたまま、しばし呆然としていた。