羅刹の刃《Laminas Daemoniorum》
会議室に入ると、そこに居たのは、格拠点の隊長や班長、そして羅刹の精鋭たちであった。
やたら長い長方形の机と、20を超える数の椅子の列が、ひとつの大部屋をふたつに隔てている。
毎度会議を催す、市議会議員とかいった政治家は、ひとりだっていやしない。
ここに集結したのは、いづれも手練れの羅刹隊員ばかりだ。
「これはすげえ」
酒童は思わず感嘆する。
他地区の精鋭たちは、みな屈強かつしなやかな肉体をしており、顔つきも厳格で、いかにも《猛者》といった風体である。
(やせっぽちの俺とは大違いだな)
自分も一度は、ああなってみたいものだ。
そうやって、他の羅刹隊員たちに羨望の視線を向ける酒童だったが、彼らが次々と席につきだしたので、酒童も慌てて、天野田の隣に座る。
全員が席についた時、1人の坊主頭の男が立ち上がり、みなの注目を浴びながら口を切った。
「これより、《西洋妖怪駆除部隊》による臨時集会を始める」
カーテンが閉められ、僅かな夕暮れの光が遮られる。
薄闇に染まった部屋の中、しずしずとした声が響いた。
*