羅刹の刃《Laminas Daemoniorum》
しかし、この西洋妖怪たちは、あたかも羅刹がいる間はどこぞに隠れていたかのように、急に姿を現した。
かてて加えて、この地域のカメラに映っているだけでも十数体はいる。
ということは、ここに偶然、西洋妖怪が集まったという考えを覗いて考察すると、
―――これと同じ数の西洋妖怪が、ほかの地区にも、ほかの県にも、姿を隠して潜んでいる可能性がある。
ここ十年間の西洋妖怪は、全国平均で、1日に5体ほど出現する。
1つの地区に7体も出れば、充分に多い方だ。
それが、ここにはその倍の数はいた。
仮に1つの地区に14体として、その数と日本全国の地区の総数をかけると―――非常に膨大な数値に跳ね上がる。
さらに、その情報が環境省に伝達され、羅刹の総隊長の耳まで届くと、すぐさま他の地域への情報提供が要された。
すると、なんとその地区と同じような目撃情報や映像が、あちらこちらから湧いて出た。
「これはおかしいぞ」
そうして、総隊長は急遽、全国に置かれた羅刹の幹部に、精鋭たちへの情報発表を命じた。