羅刹の刃《Laminas Daemoniorum》
ということで、今日は西洋妖怪の駆除会議が行われたのである。
スクリーンに映し出された、西洋妖怪の分布図や、出没の年平均数が、此度の事態がいかに異例であるかを物語っている。
この1週間の西洋妖怪の出没平均と、ここ10年間の出没平均を比較した図が表示される。
1週間の出没平均は、10年間の平均数を表したグラフの高さを、明らかに凌駕していた。
日本列島において、力量では生態系の頂点に君臨する外来種、西洋妖怪。
600年前に異常発生したとされる、ブラックバスだとかアライグマだとかいうものとは、全く比にならない。
なにしろ、あの化け物どもは人間を餌とするのだから、すこぶる厄介だ。
「このままでは、日本の安寧が危ぶまれる」
地区長は言った。
日本人は東洋人の中の亜種で、日本列島は極東にぽつんと浮かぶ小さな島国でしかない。
それでも、この小さな島で日本人は数百年前から飛躍的な発展を遂げてきた。
いまは西洋妖怪の動きに制限されてしまっているからなのか、それとも別の理由があるのかで、平成時代以降からまったく進歩していないが。