羅刹の刃《Laminas Daemoniorum》
普段の鬼門であれば、もっとまともな答えをよこせ、と追及するだろうが、なぜかこの時は、
「―――わかりました」
と、言ったきり腰をついた。
鬼門にしては珍しい。
酒童は思いつつ、スライドの画面を眺めていた。
いや、彼のことなのだから、それなりの思惑があるのだろうが。
「しかし、羅刹部隊として駆除未経験者の新米をが派遣された時、各班の精鋭に教育を任せることになる。
ここの地区を担当する班は?」
「第6班です」
鬼門が答える。
「第6班の精鋭は、いまこの場にいるのか?」
「はい」
言うや、鬼門は視線で酒童を射抜いた。
「我が地区でもトップの精鋭、酒童嶺子です」
……へっ?
鬼門があまりにもらしくないことを口にしたので、酒童は思わず、間抜けた声をあげるところだった。