羅刹の刃《Laminas Daemoniorum》
理由は定かではないが、日本政府は、なにかしらの経緯で、西洋妖怪を退ける技術を手にいれたらしかった。
それだけではない。
さらに日本は、その驚異的な怪物を滅殺するための『部隊』を産んだのだった。
『西洋妖怪駆除部隊』
彼らの役割はただひとつ、西洋妖怪なる凶暴な獣を根絶やしにすることだ。
この部隊は、なんらかの薬を投与し、人外の力と身体能力を得た「人間」による、戦闘部隊である。
西洋妖怪は首を刎ねなければ死なない。
なので彼ら駆除部隊は、それぞれ1本ずつ、玉鋼の日本刀を所持している。
その人間にしては飛躍的な身体能力の発達を認められた特攻部隊は、人々から、
【羅刹(ラセツ)】
と称されるようになった。
この部隊の結成によって、日本人は、徐々に西洋妖怪の繁殖数を減らしていった。
「この辺りにはいないみたいっすね。
下に降りて奴らを探しましょうか」
茨は血気盛んに言った。
西洋妖怪は日没から日の出までしか活動しない。
日が登ると、まるで何事もなかったように姿を消し、また夜がくるまで現れないのだ。
そのため部隊の勤務時間も、全て夜だ。