羅刹の刃《Laminas Daemoniorum》
「んふっ」
悪戯っ子さながらに含み笑いをすると、陽頼は急に酒童の布団に潜り込んだ。
それには酒童も驚いて、
「な、なにするんだよ」
と、班長も推し進める精鋭とは思えぬほどに狼狽えた。
「嶺子くんが幽霊みたいに入って来たから、怖くて1人じゃ寝れないの。
罰ゲームで、一緒に寝て?」
それは酒童が幽霊のように帰ってきたからではなく、
就寝前に心霊番組を視聴したから眠れないのではないだろうか。
それでもって、なぜ彼女と添い寝をする事が罰ゲームなのだろうか。
そんな疑問が浮かぶものの、酒童は思慮するのをやめた。
いままでにも陽頼の言動に小首を傾げたことがあったが、経験上、さして深い意味はない。
たいていが、ノリだったり冗談だったりする。
ご丁寧にも、陽頼はこちらの布団に、自分の枕を持参している。