羅刹の刃《Laminas Daemoniorum》
2
朱尾仁志生(にしき)。
酒童の訓練生時代の後輩である。
酒童が訓練生3年の時に、朱尾は1年生だったので、
彼は酒童の2つ下の22歳という事になる。
商店街から少し外れたファミリーレストランの中で、酒童はいろいろと度肝を抜かれていた。
向かいの席で、豪快に焼かれた肉を貪る朱尾に。
入学したばかりの頃は、朱尾はまだ中肉中背の子供だったが、今では筋肉も付き、少しだけスリムな軍人としても通るかもしれないくらいだ。
いかにも堅そうな胸板や、腕力のありそうなゴツゴツとした腕。
きっと腹筋も並大抵のものではないに違いない。
「お前、身長体重いくつだ?」
「170センチ、73キロっす」
朱尾が水を流すように、酒童の問いに答える。
酒童は、朱尾が羨ましくなった。
プロレスラーも顔負けである。
……しかし、肉体は目ざましい発達を遂げた一方で、マナーや教養はなっていないようだった。
そばにナイフとフォークが置いてあるというのに、朱尾はわざわざ箸で肉を取り、あとは歯で噛みちぎっている。
悪く言うと、まるで野生児である。
「……なあ、朱尾」
「なんすか?」
神妙な面持ちで問うてきた酒童に対し、朱尾は陽気な顔をしている。