羅刹の刃《Laminas Daemoniorum》
しかしなんのいたずらか、不幸中の幸いで、村人が発砲した銃弾が、西洋妖怪の心の臓を貫いたのだった。
偶然で仕留めた西洋妖怪を目に、村人は、最初は首を切って放置しようかと思ったが、その傷から見える肉は、鹿や猪たちと同じ肉に見えた。
そして、村人はそれを持ち帰り、皮を履いで、火を通して鍋で食ってみたのである。
すると以外にも、肉が硬いこと以外では、大した害はなかった。
毒性もなければ、味が悪いということもない。
しかもそれを食ったことで、西洋妖怪の肉にも、他の動物と同じタンパク源があるということが判明した。
そこから、西洋妖怪を狩って喰らうという、奇妙な伝統文化ができたのである。
この村については、訓練生の時に、雑談で教官が話していたことだ。
彼ら仲津村の狩人は、羅刹に並ぶ、
西洋妖怪殺しのエキスパートだ、と。