羅刹の刃《Laminas Daemoniorum》
「まさか、ケルピーの肉を……」
「あ、はい。
実家で捕ったやつを持ってきました。
あいつらの肉は、お天道様に当てたら消えちまうんで、バックとか冷蔵庫に保管してるんですよ」
西洋妖怪の肉など想像もしたくなかったが、当の朱尾はへっちゃらな面をしている。
「で、どれがいいっすか?」
朱尾が身を乗り出して追求してくる。
この様子だと、鹿も猪もケルピーも揃えて、この街にに持ってきたと思われる。
「じゃ、じゃあ、鹿で……」
「あい。なら、こんどあった時に渡しますわ」
そう言って、肉とセットに出てきたライスをかっ込むと、朱尾は傍に置いてあったコーヒーを飲み干した。