羅刹の刃《Laminas Daemoniorum》
「あ、それと。
俺、あんたの部隊と同じ拠点に配属されることになったんで」
さらり、と、朱尾はそんなことを投げかけた。
以前に地区長が、羅刹以外の人間を部隊に投入すると言っていた。
仲津村からも、派遣員を送り込むとも公言していた。
酒童は察する。
朱尾は自分の意思で戻ってきたのではない。
地区長がこちらに回してきたのだ。
「地区長か?お前を派遣してきたのは」
「あー、なんか無表情のおっさんと、美人の女が俺の家に来て、いろいろと書類渡して、この街にくるように仰いできたんでね。
なんだっけ?
羅刹部隊の派遣員かなにかになれって話。
俺の銃の腕も見込んでくれてるみたいだったし、俺も快諾しましたよ」
「それで、ここに?」
「ええ。
ま、それより前に、派遣員推薦の電話がかかってきたんですがね。
それで、先輩と一緒の部隊に所属させてもらうことを条件に、派遣員になったんすよ」
不遜にも、朱尾は堂々と腕を組む。
班長の前でこんな態度をとったら、十字がためは間違いなしだ。
拠点についたら、まず最初に、鬼門班長への態度のとりかたについて教えておかなくてはならない。
酒童は心に決める。
もう成人したとはいえ、可愛い後輩を鬼上司の手にかけられたくはない。