無題
彼女がこれ見よがしな声をあげるから、気分が削がれて興味なさげな視線を彼女に送ってしまった
興味なさげ、などというが、事実興味はないのだが
俺と彼女の関係はそんなものなのだ
昨日は仕事でミスをしたとか差し当たってそこまで落ち込んでいるわけでもなく彼女の元を訪れた
俺にとって彼女は生きているという暗示なのだ
目を逸らしたって、
結局は何時も生きているのだから、ただ実感するだけの暗示
要はなくてはならない気紛れのようなもの
いつだったか
昔、彼女に
俺のことを好きか
と問うたことがある
彼女は雑誌を読みながら、チャリティー番組よりは好きよ、と言った
俺は少しだけにやけてしまった
所詮そのような立ち位置が心地好かった
俺は、お前のそういうところが好き
と言ったら
気持ち悪い
と一蹴されてしまった
きっと彼女はそうした会話すら忘れている
それすら彼女を更に好きにさせる要因になっているのだが、彼女自身は知る由もない