無題




今日人を殺した
これで34人目の被害者
彼ら彼女らは俺とは全く接点のない
本当に被害者としか言いようがないような人たち

俺は何故だか生まれつき人を殺さなければ生きていけない
そんな人種の人間だった
食欲を抱くように
呼吸をするように
まるで当たり前のように身体が殺人を欲する

この人にも大切な人がいただとか、この子には有望な未来があったとかが頭をよぎる
だが映画を見ているかの如く、俺には変に浮き世離れした他人事のように思えるのだ

今日の被害者は、彼女と同じか少し年上くらいの女性だった
ふと何でもないように彼女を思い出して
彼女と被害者を重ねた
何だか顔もどことなく似ていなくもない気がした
被害者のそこそこ豊かな胸に顔を埋める

暖かくない
彼女はとても温かいのに
被害者の君は、
俺が被害者にしてしまったが為に、温かさも暖かさも、無くして、亡くした

そのまま近場のバーに寄り、酒を浴びるように呑んだ
嗚呼、彼女に怒られるだろうか

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