好きだなんて言わなければよかった【完】
そこまで、考えるとオレは、深いため息を吐く。
紗綾は、慎也が好きなのか…?
もしかしたら、紗綾の幸せを本当に思うなら、身を引いたほうがいいんじゃないか…?
そんな疑問が頭の中をぐるぐる駆け巡る。
慎也と仲良さそうに話していた紗綾。
さっきも、母達の話が本当なら、一緒に帰っていたということになる。
“真生くんっ!”
そう言って、オレに見せていた笑顔。
もう、他に向ける相手がいるのだとしたら…。
「…っ」
胸が痛い