好きだなんて言わなければよかった【完】
「…小夜子、おはよ」
ポツリとそう挨拶を返し、微笑みかける私を見て、小夜子は驚いたように目を見開く。
そして、
「…っ、紗綾!ちょっと、こっち来て!」
突然、そう言い放つと、私の腕を掴み、教室を出た。
…小夜子?
「ほら、入って」
「入って、っていわれても…」
おそるおそる横目でドアの前に掛けられたプレートに見つめる私。
…小夜子に連れてこられたのは保健室だった。
「私、別に怪我とかしてな…」
「いいから!入りなさい!」
「は、はい」
小夜子から有無を言わさないような気迫を感じ、私は、素直に従うしかないことを瞬時に悟る。