好きだなんて言わなければよかった【完】
「し、失礼します」
「しつれいしまぁ〜す!」
…!?
遠慮がちに、室内に足を踏み入れる私とは、対照的な小夜子の様子に思わず、呆気にとられてしまう私。
すると、
「あら?小手川さんじゃないの〜久しぶりねー、そっちの子は、はじめましてね」
そう言って、穏やかににっこりと笑みを浮かべるのは、“保健室の女神”の異名をもつ、河上美晴先生。
まだ、27歳と年も若く、おっとりとした性格で、男子はもちろん、女子からも人気を得ているらしい。
「し、篠崎です」
ペコリと軽く河上先生に会釈をしながら私は、そう呟いた。
「美晴先生、ちょっと、いろいろあってさ、しばらく保健室にいてもいい?」
「あらあら〜、恋の悩みかしらーうふふ、いいわよ。ただし、授業サボるのは1時間だけよ。担任の先生には上手く言っとくわね」