好きだなんて言わなければよかった【完】
小夜子のそんな励ましに、私は、一瞬、泣きそうになる。
親にだって、弟の旭にさえ話せなかった、5年前の出来事。
一生、胸に秘めて、1人で抱えていこうと決めたのあの日の私を、小夜子が変えてくれた。
そして、また今回も。
きっと、小夜子がいなかったら…真生くんと再会したあの日、私は、また同じ過ちを繰り返していたかもしれない…そう思うから。
「…ありがとう」
上手くは笑えていないだろうけど、今できる最高の笑顔で小夜子に感謝を伝えたいんだ。
「…なによぉー、照れるじゃない…」