好きだなんて言わなければよかった【完】
*笑顔<小夜子side>
小夜子side
ニコリと、楽しそうに笑みを浮かべる紗綾を見て、私は、ホッと胸を撫で下ろす。
…よかった、紗綾…いつも通りだ
今日の紗綾を見ていると、やはり、最近は無理をしていたんだと改めて感じる。
…あの日。そう、真生さんと再会したあの日から、紗綾は、あまり笑わなくなった。
…いや、“笑わなくなった”というより、“笑えなくなった”といった方が正しいのかもしれない。
もちろん、真生さんとの再会をきっかけに、紗綾の中でいろいろ葛藤があったんだと思うけど…。
あの子、私に心配かけないようにずっと、無理して笑ってたもんなぁ…。