好きだなんて言わなければよかった【完】
*目撃
――…それは“私、まだ真生くんが好き”と、ようやく気づいた翌日の出来事だった……。
「…え?真生くん…もう、家出ちゃったんですか?」
「そうなのよー、もう少し、ゆっくりしていけばいいのにねー…」
そう言って、美生さんは、ハァ…と、ため息をこぼす。
「全く!私が酔って寝ている間に帰っちゃうなんて…ありえないというか…ね!紗綾ちゃんもそう思うでしょ?」
「あ、はは…そうですね」
一昨日の夜の美生さんと私のお母さんのことを思い出すと、あながち真生くんの気持ちがわからなくはない
とは、口がさけてもいえない雰囲気で…私は、苦笑いを浮かべるしかなかった。
…でも、今日は、学校が終わって急いで帰ってきたのになぁ…でも、真生くんも大学があったから仕方ないよね…。