好きだなんて言わなければよかった【完】
「…そうなんですかね?」
「ひでー、紗綾ちゃんまでそんなこと言う」
そう言って、泣き真似をする慎也さんに思わず、私は、笑みをこぼした。
その時、
「…あ、ほら…あのアパートが真生の家、二階の突き当たり」
慎也さんに言われ、私も彼の視線を目で追う。
「…綺麗なアパートですね」
まだ、新築なのだろうか。
白を基調にした建物は、まだ塗り立てのようで汚れも目立たない。
「なんか、大家さんがリフォームしたばっかりらしいよ?築20年って言ってたし…」