好きだなんて言わなければよかった【完】
「へぇ…」
「それなりに外観も綺麗にしとかないと、なかなか買い手も決まらないから、苦労してるみたいだけどね」
慎也さんは、そこまで言うと、ポケットの中から何かを取り出した。
「…慎也さん、それって…」
「あぁ、コレ?合鍵だよ。オレ、よく真生の家来るからさ必要でしょ?」
そう言って、ヘラリと笑い、軽やかな足取りで階段を上っていく。
…真生くん合鍵の存在知ってるのかな?
なんて、そんな心配をしながらも私は、慎也さんの後に続いて階段を上っていった。