好きだなんて言わなければよかった【完】
いつもの慎也なら、ツッコミの1つをいれてもおかしくない状況のはず。
「…は?なんなんだよいったい………」
あまりに急な展開に、オレの頭もついていかない。
とりあえず、何でキレてるのかわからなかったが慎也を宥めようとおもむろに立ち上がった
その瞬間、
パチリ
目があったのは、
「……紗綾」
だった。
…なんで、ここにいんだよ…。
そう思って、驚いて目を見開くオレに、
「あの…か、勝手に上がっちゃって…ゴメンね…さっき、バッタリ慎也さんと会って…それで…」
懸命に、この状況を説明しようと言葉を紡ぐ紗綾。
そして、
その目からぽろっと、涙が一粒こぼれ落ちた。