好きだなんて言わなければよかった【完】
私の中での慎也さんは、喜怒哀楽でいうと“喜”と“楽”のイメージだったから。
いつもヘラヘラ楽しそうに笑ってるし…。
だから、彼に対するイメージがちょっとだけ変わってしまったかもしれない。
私がそう考えた瞬間、
ピタリ
突然、慎也さんの足が止まった。
そして、
「紗綾ちゃん!ゴメン…いきなり連れ出したりして…怒ってるよね?」
おそるおそる、そう呟いて、ちらりと、私の顔を見る。
「…え?、いや…怒ってなんか…むしろ、連れ出してもらえてありがたかったです」