好きだなんて言わなければよかった【完】
“アイツ”は、何の苦労もなく当たり前のように紗綾ちゃんから想われている。
それに対して、オレなんか、やっと、友達になれたのかなっていう程度だし…。
「…ほんと、…ずりぃーよな」
“幼なじみ”ってポジションが羨ましくないって言えば、嘘だ。
紗綾ちゃんがいつでも気にかけてるのだって、言葉や態度から伝わってくるし…。
…お前にとっても、紗綾ちゃんは、昔から一緒にいて、お互いのことだって何でも知っている…家族みたいに、特別な存在なんだろ…?
なのに、どうして…傷つけるんだよ…。
オレは、ギュッと、握りしめた拳をソッと開いた。
“5年前”2人の間に何があったのか、オレは知らない。
真生とは、2年ほどの付き合いしかないし、紗綾ちゃんに至っては出会ってまだ数週間もたっていない。