好きだなんて言わなければよかった【完】
もしかして、今の私は、あの時の女の人と同じなんじゃないか…。
一瞬、嫌な考えが頭をよぎる。
小学生の私には、ピンとこなかったあの言葉、
もし、…今の自分に当てはまってるとしたら…。
あぁ…ダメだ。嫌な方にばかり考えがいく。
「…紗綾?大丈夫?なんか顔色悪いけど…もしかして、具合悪い?今日、暑かったもんね、少し日陰で休む?」
心配そうに私の背中をさすりながら、小夜子はそう呟いた。
どうやら、私の具合が悪そうに見えるのは、今日の暑さが原因だと、思ってくれたらしい。