好きだなんて言わなければよかった【完】
「…行っちゃったね…」
「…うん」
ポツリ、小夜子がそう呟くのを横目に私は軽く頷いた。
「…なんか、よくわかんない人だったねぇー」
「…うん、でも…悪い人じゃないと思う」
小夜子に向かって、キッパリとそう言うと、彼女は、少し驚いたような表情を浮かべる。
しかし、
次の瞬間には、
「…まー、そんなことより?部屋だの、キスだの…何の話ぃー??わたしぃー、ぜーんぜん、聞いてないんだけどなぁ〜」
「…っあはは、なんだろーね」
「くわーしく、聞かせてね、紗綾ちゃん?」
「……はい」
有無を言わさないような小夜子の圧力に負けた私は、肩を落としながら、素直にそう返事をしたのだった。