好きだなんて言わなければよかった【完】
*偶然
―――…
「ほら、姉ちゃん!!これ、美味そうだから食べねー?オレ、特別に奢るからさ」
にこやかな笑みを浮かべ、私の腕を引っ張るのは、弟の旭。
私は、そんな旭に腕を掴まれ、半ば強引に外に連れ出されていた。
…というのも、
つい最近、明美さんに会ってから、いろいろと悩んで、学校へ行く以外はほとんど部屋にこもっていた私。
そんな私を心配したのか、久々に部活が休みの日曜日に、旭が映画に誘ってくれたのだ。
…旭は、たまたまチケットが手に入ったとか行ってたけど…どう考えても私を誘うなんて不自然…。
それに、せっかく部活がない日なんだから家でゆっくり過ごしたいはずなのに…