好きだなんて言わなければよかった【完】
そう言って、私は満面の笑みを浮かべた。
その瞬間、
「…あー、うん、オレも」
なぜか、急に歯切れが悪くなった慎也さん。
さらに、おかしなことに、私と目線を合わせようとしない。
今日、本当にどうしたんだろ…?
そんな彼に私が首を軽くひねった時、
「…はい、話はとりあえずまたあとで。映画始まるからさ」
突然、話に入ってきた旭にそう言われ、私はハッとして、近くにあるはずの時計を探す。
たしか、上映は1時…だったよね。
そう思いながら、受付の前の時計を確認する。
12時…52分!?
なんと、上映まで、あと10分もない。