好きだなんて言わなければよかった【完】
さきほどまでとは、比べ物にならないくらい尋常でない緊張感が、劇場内からヒシヒシと、伝わってくる。
オレも、思わず息を飲んで、スクリーンを見つめた。
それと同時に、
この映画が終わってからのことを考えていた。
紗綾ちゃんに、まだ、伝えてないことがある
それをきちんと、伝えよう。
なぁ、真生。
お前、明美ちゃんとの一件以来、紗綾ちゃんに何も話してないのかよ?
オレは、もう自分の気持ちは、伝えたからな。
お前がこのまま何もしないなら、オレは…
拳をギュッと、握りしめ、心の中でそう呟いた途端、
ギッヤァァァァァーー!!!
断末魔のような悲鳴が劇場内に響き渡った。
慎也side*end*