好きだなんて言わなければよかった【完】
*デート
―――…
「…こ、怖かった」
「いやー、夜、夢とかに出てきそう〜」
「ちょっと、トラウマになりそうかも」
映画が、終わり、ゾロゾロと劇場内から人が出てくる。
出てきた人たちは、皆、顔面蒼白といった感じで、口々にそんな感想を呟いては、疲れきったように肩を落としていた。
しかし、その中で
「んー、まぁまぁだったねー、でも、久しぶりに当たりだったよ!!ね、旭!」
「…あぁ、途中からオレ、飽きて寝てたから、最後まで見てない」
「えー!もったいない、最後らへん、なかなかだったのに」
私と旭は、そんな会話を交わしていた。
同じ年代の女の子たちは、ひどく怯えている様子だけど、
このくらいなら想定の範囲内だ。