好きだなんて言わなければよかった【完】
お母さん、帰ってきたのかな…?
もう1度、伸びをして、オレは、おもむろに立ち上がる。
その時は、“どうせ、お母さんだろう”そう思って、たかをくくっていたのだが…、
「…お母さん?なんで、わざわざチャイムなんか……」
ブツブツと、文句を言いながらも、律儀に玄関のドアを開けるオレ。
しかし、目に入ってきた人物を見て、思わずカチンと、固まった。
だって…目の前に立っていたのは、
「…よぅ、旭、久しぶりだな〜、なんか、ちょっと見ない間に背伸びた?」
前と変わらず、気さくな笑みを浮かべた、真生兄ちゃんだったから。