好きだなんて言わなければよかった【完】
「…悪い、今は話せない。お前がもうちょい大きくなったら、話す…から、な?」
「…うん、わかった」
素直にそう言ったけど、本当は、すぐにでも教えてほしかった。
だけど、オレが無理に理由を聞かなかったのは、一瞬、見せた真生さんの苦し気な表情に、何も言えなくなってしまったからだ。
「…あのさ、紗綾いるか?」
「…うん、いるよ。…呼んでくる?」
「…いや、いい。ただ、これだけ渡してくれないか?」
そう呟いて、真生さんが取り出したのは、
学業成就
と、書かれた御守りだった。