好きだなんて言わなければよかった【完】
よかった、これでみんな元通りになれる。
真生さんが帰った後、そう思っていたオレは、ただただ嬉しくて、姉ちゃんの部屋の扉を開ける。
しかし、そんなかすかな期待に胸を膨らませていたオレは、
「…っ、そんなのいらない!!!もう、忙しいから部屋に入ってこないで!」
そんな姉ちゃんからの“拒絶”の言葉に、打ちのめされた。
なんで、なんで…?
せっかく、真生兄ちゃんが姉ちゃんのために届けてくれたんだよ?
そんな気持ちだけが頭の中を駆け巡った。
…実は、今でも、あの御守りは、オレの机の中で大切に保管している。
もしかしたら、いつか、姉ちゃんにもう一度渡せる機会が巡ってくるかもしれないから。