好きだなんて言わなければよかった【完】
“はやく渡したい”
そう思いながら、気づけば、あれから、もう5年も経っている。
…真生さんも、姉ちゃんも、はやくしないと本当に取り返しがつかなくなるかもしれないっつーのに。
「…あー、イライラする」
思わず、そんな言葉がこぼれた。
…といっても、あの時の“御守り”を未だに渡せないオレも似たようなもんなんだけど…。
でも、まぁ、今はとりあえず、
5年前みたいなのは、もう絶対に御免だからな。
「…自分にできることをやりますか」
おもむろにポツリと、そう呟き、オレは、スマホを手に取ったのだった。
旭side*end*