好きだなんて言わなければよかった【完】
やっぱり、そのことか…。
内心、その話だろうと予想は、できていた。
…旭…何気にシスコンだからなぁ。
まだ小さかった旭が、紗綾の後を必死に追いかけていた姿がふと、脳裏に浮かび、オレは、軽く口元を綻ばせた。
「真生さん、オレに前言ったよね…オレが大きくなったら、ちゃんと話すって…」
「…そうだな」
「…オレさ、また姉ちゃんが5年前みたいになる姿、見たくない」
「……」
真剣にそう言葉を紡ぐ旭に、オレは、何も言えなかった。