好きだなんて言わなければよかった【完】



「…正直…キツいな…」



はたしてオレが慎也に勝てるだろうか。




いや、そもそも、紗綾に対して、あんなにヒドい仕打をしてしまったオレにまだチャンスは残されているのか…。





そこまで考えてハッとした。





「…ったく、オレは、昔と何も変わってねーな…」





くしゃりと、自分の前髪を掴む。





…本当に傷つくのが怖いのは、オレのほう。




紗綾のためと言い聞かせながら、結局、今までずっと自分が傷つかない方法を探してきた。





「…そんなんで慎也に勝てるわけねぇだろ…それに旭の思いを裏切るようなことは、もう絶対にしたくねーし」





自分を守るために誰かを傷つけていた5年前。




もう、誰一人としてあんな思いはさせたくないから、





だから…オレは、後戻りはしない。






真生side*end*


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