好きだなんて言わなければよかった【完】
小夜子が言いたいことは、なんとなく予想がつく。
…わかってる本当は、私だって。
慎也さんにとっても、私にとっても…私の気持ちがまだハッキリしてないうちに、デートなんか行くべきじゃない。
「…利用してって」
「…え」
「真生くんのことまだ好きでもいい、真生くんのこと忘れるために自分を利用してって」
私の言葉に、小夜子は、目を見開いた。
「…私、それを聞いて…断れなかった。真生くんが好きって気持ち変わらないはずなのに」
「…紗綾」
グッと、目尻に力を込める。
そうしないと、涙がこぼれ落ちそうだった。