好きだなんて言わなければよかった【完】
ヒラヒラと、私に向かって軽く手を振りながら、
急いで英語の教科書を取り出す小夜子は、もう、いつもの彼女で…。
さっきまでの沈んだ雰囲気が嘘のようにさえ感じるほど。
「…何だったのかな…さっきの小夜子の様子…」
慌ただしくノートに英訳を写す小夜子を見つめ、私は、ポツリと呟く。
「あー、電子辞書忘れた!」
「あはは、小夜子~、私の貸したげよっか??」
「本当に!?たすかる!!リコ、愛してる!!」
「はいはい。愛よりお金ちょーだいな。」