好きだなんて言わなければよかった【完】
その瞬間、
ガラッ
「おーい!もうとっくに予鈴なってんぞ!!席につけ」
英語担当の芝崎先生が勢いよく教卓の前の扉を開けて入ってきた。
「げっ、芝セン来るのはやいよ」
まだ、英訳の予習が終わっていない小夜子は、焦ったようにノートに訳を書き込んでいる。
「よし!今日当ててたのは~っと、小手川だっけな。よし、小手川!!黒板に書いてみろ」
「…えーっ、黒板にですか~」
文句を言いながらも席を立った小夜子は、諦めたように黒板に向かって歩き出した。
「おぉ…小手川ちゃんとやってきたのか!!いつもやってこないのに」
「わー、先生ヒドい。私だってやるときはやりますよー」
「そうか、そうだよな。すまん」
ワハワハと、豪快に笑う芝崎先生の顔が引きつるのにそう時間は、かからなかった。
…そして、その後、小夜子が芝崎先生に呼び出しをくらったのは、言うまでもない。