好きだなんて言わなければよかった【完】
*当日
───…
「紗綾ちゃん!ゴメン!!待った?」
「あ、私も今来たとこです!」
慎也さんとのデート当日、電車が遅れたと、連絡があったのは、ついさっきのこと。
…だから、あと30分は、余裕で待つつもりだったのに。
走ってきたのかな…?
額に汗を浮かべ、肩で呼吸する慎也さんをみて、不意にそう思った。
「ゴメンね。まさか、あんなに混んでるとは思ってなくて…乗るの結構大変だった」
「…走ってきたんですよね?めっちゃ汗かいてるから…」
私は、バックからタオルを取り出して慎也さんに渡す。
「ありがとう。うん、走ってきたよー。早く紗綾ちゃんに会いたかったしね」