好きだなんて言わなければよかった【完】
…それにしても、家の電話に出るなんていつぶりだろう。
大抵、お母さんが出ちゃうしなぁ。
そんな他愛のないことを考えながら、
…カチャ
私は徐に受話器を手に取ると、
「…はい、小手川ですけど…」
そう言葉を紡ぐ。
すると、
「…あ、もしもし。えっと…僕、小夜子さんの友達の篠崎紗綾の弟ですけど……小夜子さんいらっしゃいますか…??」
電話の相手は、あまりにも、予想外の相手で私は一瞬固まってしまう。
「………」
え…なんで旭くんから電話!??
旭くんとは、紗綾の家に遊びに行った時に何度か会ったことはあるけど…正直電話するほど仲良しというわけでもない。
「…あ、旭くんだよね?私、小夜子だけど…」