好きだなんて言わなければよかった【完】


…それにしても、家の電話に出るなんていつぶりだろう。


大抵、お母さんが出ちゃうしなぁ。



そんな他愛のないことを考えながら、



…カチャ



私は徐に受話器を手に取ると、




「…はい、小手川ですけど…」




そう言葉を紡ぐ。



すると、



「…あ、もしもし。えっと…僕、小夜子さんの友達の篠崎紗綾の弟ですけど……小夜子さんいらっしゃいますか…??」



電話の相手は、あまりにも、予想外の相手で私は一瞬固まってしまう。



「………」



え…なんで旭くんから電話!??



旭くんとは、紗綾の家に遊びに行った時に何度か会ったことはあるけど…正直電話するほど仲良しというわけでもない。




「…あ、旭くんだよね?私、小夜子だけど…」




< 289 / 404 >

この作品をシェア

pagetop