好きだなんて言わなければよかった【完】



だって、



それを受け取ってしまったら、




きっと、また真生くんを忘れられなくなる。





そう思った私は、その日のことは、何もなかったように振る舞うことにした。





…旭が何か言いたそうにしていたが、わざとそれに気づかないふりをして…。






―――…




「あ、あった!!紗綾あったわよ」



合格発表の日。




興奮したように掲示板を見つめ、喜ぶ母親に対し、私はなんだかモヤモヤした気持ちがいっぱいで素直に喜べないでいた。





あぁ、これで本当に真生くんとは、お別れ。




その現実に、心が揺らぐ。




…自分で決めたことだったのになんだか心にぽっかりと、大きな穴が開いているような、そんな気持ち。




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