好きだなんて言わなければよかった【完】
とぼとぼと、歩いている途中で、道を間違ったのか、さっきまでの賑やかな通りから外れた場所に出てしまった。
「…真生くん…」
ぽつりと、名前を呼んでみるも、答えてくれるはずもなく、私は途方にくれる。
日もだんだん傾いてきて、すでに夕方。
5時を告げる鐘の音が遠くから聞こえてきた。
…お母さん、心配してるかな…
遊びに行くと、一言も言わずに家を出てきてしまったことを今更、後悔し始めた時だった。
「…公園だ」
目の前に、たくさんの遊具がある公園が見える。
…そういえば、真生くんたち、駅の近くの公園に行くって言ってた!!
どうやら、最初の目的の場所には着いたようで、少しだけ心が躍った。
紗綾だって1人で公園に行けるんだから!