好きだなんて言わなければよかった【完】
「もちろん。連れて行ってあげるよ。さぁ、おいで」
ニコニコと、張り付けたような笑みを浮かべ、私に手を差し出す男の人。
お家に帰れる!!
私は、藁をも掴む気持ちでその男の人に手を差し出そうとした。
その時、
「紗綾!!」
聞き覚えのある声が公園内に響き渡り、私は思わずその声の方向に視線をそらす。
男の人も驚いたように、視線を向けていた。
そこには、すこし焦ったような真生くんの姿があった。
走ってきたのか、呼吸が荒い。
「真生くん!!」