好きだなんて言わなければよかった【完】
真生くんだって…怖かったはず。
なのに、私だけその記憶を消し去るという楽な方法を選んだ。
「…慎也さん、私、もう一度、気持ち伝えます」
思いは、伝わらないかもしれないけど…今の素直な気持ちを伝えたいから…。
「…ったく、紗綾ちゃんにここまで思われてるなんて…マジで幸せなヤツ」
微かに微笑んだ慎也さんは、そう呟くと、
「んじゃ、早速伝えてきなよ」
軽く私の背中を押す。
「…慎也さん、ありがとう」
「…ほら、行きな?」
もう一度、軽く背中を押されるのと同時に、私は歩き出していた。