好きだなんて言わなければよかった【完】
*友情
―――…
「……クスッ」
そこまで思い出して、私は、軽く笑みを浮かべる。
それは、幼かった私に対してのもの。
あんな方法でしか、真生くんと別れられなかったガキな私に対してだ。
そして、
もうあれから5年という歳月が流れたことがなんだか不思議に思える。
「…もう、本当に忘れないと、ね」
1年前、高校生になった私が、元の家に戻ってきた時、真生くんは、すでに家を出た後だった。
「紗綾ちゃん!?少し見ない間に綺麗になって!」
美生さんにそう言われ、私は軽く微笑みを浮かべる。
「美生さん、元気そうで、なによりです」
相変わらず、美人で優しい美生さんは、昔とちっとも変わってなくて…。
そのことが素直に嬉しかった。