好きだなんて言わなければよかった【完】


「うん!食べる食べる!やった!」



実は、ピラフにするかグラタンにするかで迷ってたんだよね。


思わず、嬉しさに口元が緩む。




すると、



「…昔から好きだもんな。グラタンとピラフ。よく、おばさんがいるときは、ねだってし。今日の夜ご飯、グラタンとピラフがいいって」



そう呟いて、昔のことを思い出したのか真生くんが笑いを堪えるように肩を震わせた。




「だ、だって。どっちもおいしいし…なんだかんだ真生くんだって賛同してくれてたじゃん」



「まぁな。実際、おばさんの作るグラタンとか超うまかったしな…今度、会ったら作ってくれるように頼んでみようかな」



「…そういえば昔から家の夜ご飯の権利っていつも真生くんが握ってたよね」



「ばーか。何言ってんだよ。オレん家では、お前が好きなものばっかりだったろ」




…そう言われればそうだったかも




看護士だったお母さんのかわりに真生くんの家で夜ご飯を食べる時は、たしかに私と旭が好きなものが多かった気がする。



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