好きだなんて言わなければよかった【完】



美奈という女の人は、今にも、泣き出しそうな表情で真生くんを見つめている。



「ちょっと、真生。美奈の気持ちわかってるんでしょ?そんな言い方…」



たしなめるように、そう言う春子という女の人に向かって、



「…いい加減に、こっちも我慢してるって気付け。お前らこそ、人の彼女に失礼なこと言ってんじゃねーよ。二度と話しかけんな。いこ、紗綾」




「…う、うん」




絶対零度とは、まさにこのことと、言わんばかりの口調でそう言い放った真生くんは、さっさと会計を済ませ、店を後にする。



私もその後に続いて店を出たのだった。







───…




「…ごめん。あんなこと言われて気分悪かったよな」




店を出て少し歩いた所で、そう呟く真生くんの声が聞こえてきた。




「…え。ううん、大丈夫。真生くんが言い返してくれたから逆にスッキリしたし!」





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