好きだなんて言わなければよかった【完】
「ねー、紗綾はぁ、何でいっつも告白断っちゃうのよ?さっきの子って3組の沢田くんでしょ?結構人気あるのに」
もったいなーい、そう呟く小夜子は、ちらりと、私を見てそう言い放った。
小夜子は、見た目によらず、案外ズケズケと言えるタイプ。
…そんなハッキリとした態度をとれる小夜子が結構、羨ましかったりする。
「…うーん、タイプじゃなかったから?」
アハハと、とりつくように笑みを浮かべる私に、
「…まったく、紗綾は、いっつもそればっかりなんだから」
そう言って、肩をおとす小夜子。
しかし、次の瞬間には、
「…まだ、引きずってる?」
そう言って、真剣な表情で私を見つめる。
「……どーかな…」
私は、笑みを浮かべてそう答えた。
――…去年、小夜子には、話した。
私の過去を。あの日のことを。