好きだなんて言わなければよかった【完】
“真生くんは、私だけのものじゃない”
ようやく、そう気づいて、今まで以上に真生くんを異性として意識しだしたのは、私が3年生。
真生くんが6年生の時。
やっぱり、3年生ぐらいになると、周りの女子たちも
隣のクラスの佐藤くんがカッコいいだの、
いや、サッカー部の佐山くんだのと、
恋愛話に色めきだつお年頃。
「紗綾ちゃんは、好きな人いないの?」
友達からそう聞かれると、
決まって私は、真生くんの名前を言っていたのを覚えている。
同い年の男の子たちを好きにならなかったのは、
やっぱり、…ずっと年上の真生くんを好きだった私にとっては、男の子といったら真生くんが全てで。
同い年の男の子たちは、すっごく子どもに見えていたんだと思う。